EXCELでのマニュアル運用に限界を感じていた日々
この企業では、各部門が業務ごとのマニュアルをExcelファイルで作成・共有していました。1つのファイルには複数のシートが存在し、内容は非常に充実しており、業務に必要な情報がしっかりと網羅されていました。
しかし、次第に以下のような課題が浮き彫りになってきたのです。
- 作成者ごとに構成や表記が異なり、統一感がない
- ファイルが増えすぎて、どこに何があるか分からない
- 一つのExcelファイルの中に複数のタブがあり、探すのが大変
- 更新履歴が残らず、最新情報かどうか判断しにくい
- ファイルサーバー上での編集や共有に時間がかかる
「必要な情報があるのは分かっているのに、見つけるのに時間がかかる」
「どのファイルのどのシートを見ればよいか、毎回人に聞かないと分からない」
こうした現場の声が増えたことをきっかけに、マニュアル運用の抜本的な見直しを検討し始めたのです。
WEBマニュアル化による課題解決プロジェクトがスタート
同社では、マニュアルの改善とWeb化に実績のある弊社にご相談をいただき、すべてのExcelマニュアルをWebマニュアルとして再構築するプロジェクトをスタートさせました。主な目的は以下の4点です。
- 検索性を高めて、誰でもすぐに目的の情報にたどり着けるようにすること
- 更新作業をスムーズにし、常に最新情報を提供できる状態を維持すること
- 関連情報へも簡単にアクセスできる「業務ポータル」としての役割をもたせること
- 電話対応マニュアルにフロー図を取り入れて、矢印に従って進めると必要な手続きが完了できるようにすること
プロジェクトは以下の流れで進行しました。
ステップ1:情報の棚卸しと分類
まずは、全社に散在していたExcelマニュアルをすべて収集。各ファイルの内容、重複、類似点、関連性を整理・分類し、Webマニュアルとしての構成設計を行いました。
内容の見直しではなく、「構造の整理」が主な目的であったため、もともとの情報資産を最大限に活用できた点もポイントです。
ステップ2:Webマニュアルとしての構築
次に、情報の再構成とWeb化を同時に進行しました。業務カテゴリ別にマニュアルを分け、各マニュアルには見出し・目次・タグを設け、検索やナビゲーションを強化。また、図や表、画面キャプチャなど視覚要素も取り入れ、文字だらけのExcelファイルよりも直感的に理解できる構成としました。
ステップ3:トップページに「使えるポータル機能」を追加
Webマニュアルのトップページには、日常業務でよく使うマニュアルへのリンクや、業務関連のツール・社内ポータルサイトへのリンク集を設置しました。これにより、Webマニュアルが単なる「参照資料」ではなく、日々の業務を支えるハブとして活用される仕組みが整いました。
現場の声:迷わない、探しやすい、更新しやすい!
Webマニュアルの運用がスタートすると、現場のスタッフからさまざまな反応が寄せられました。
- 「以前はファイルを開いて、何シート目かを探すだけで疲れていた。今は3クリック以内で目的のページに行ける」
- 「検索すればすぐに必要な情報が出てくる。分かる人を探して聞かなくて済むようになった」
- 「他部署の業務内容も分かるようになり、連携がスムーズになった」
- 「更新作業が格段に容易になり、古い情報のまま放置されることがなくなった」
とくに、検索性と更新性の向上は、業務の効率化に直結します。
また、ポータル的な使い方ができるようになったことで、「業務の出発点」としてWebマニュアルを開く文化が根付きつつあるとのことです。
成功の鍵は「整理」と「見せ方」の再設計
今回の成功のポイントは、「情報の質」そのものを変えるのではなく、情報の整理と見せ方を変えたことにあります。
- 構成の統一:どのマニュアルを見ても同じ構成なので迷わない
- 階層設計の最適化:業務カテゴリごとの整理により、目的の情報に早くたどり着ける
- 検索導線の強化:キーワード検索、タグ、リンク構造によるナビゲーション性の向上
- 更新体制の明確化:誰がどの情報をいつ更新するのかが明確になり、運用が安定
つまり、マニュアルの情報そのものよりも、それを「どう届けるか」が鍵だったのです。
WEBマニュアルは「全社的な情報資産」として成長する
Webマニュアルを導入した同社では、マニュアルの役割が「部署ごとの手順書」から、「全社の業務ナレッジ基盤」へと変化し始めています。
- 他部署の業務を把握できることで、業務連携がスムーズに
- よくある質問や対応フローを集約した「ナレッジ集」も構築
- 新人教育時にもマニュアルをそのまま活用でき、教育工数が削減
このように、Webマニュアルは一度整備すれば終わりではなく、日々の業務とともに育てていける情報資産になります。
また、利用ログを分析して、どのページがよく見られているか・逆に見られていない情報は何かを把握することで、継続的な改善にもつながっています。
まとめ
Excelで作成されたマニュアルは、手軽である一方で、情報が増えるにつれて管理・検索・更新の面でさまざまな課題が生じやすくなります。
今回ご紹介した企業では、もともとの情報を活かしながら、Webマニュアルという「使いやすい形」に変えることで、業務効率と情報共有の質を大きく向上させることができました。
株式会社シーブレインは、貴社の課題に合わせた最適なマニュアル構築をご提案いたします。マニュアルの見直しやWeb化をご検討中の企業様は、ぜひ一度ご相談ください。