マニュアル作成の壁:なぜ着手できないのか
担当者が陥る「手をつけられない理由」のひとつは、「完璧を目指す」ことからくる心理的な負担です。すべての情報を網羅しようとすればするほど、どこから始めればいいのか分からなくなり、結果として先送りになってしまうのです。また、情報が多すぎると整理が難しくなり、作業のハードルがさらに上がる場合も少なくありません。この状態を乗り越えるためには、「完璧ではなく必要最低限」からスタートするという考え方が重要です。さらに、同僚やチームメンバーと共有しながら作業を進めることで、負担を分散させるのも有効です。
- ポイント:「必要最低限」からスタートする
「育てる」マニュアルとは何か
「育てるマニュアル」とは、最初からすべてを網羅しようとせず、まず必要最低限の情報をまとめて、後から徐々に追加・修正していくアプローチのことです。この方法なら、短期間で一部の操作についての初期バージョンを完成させることが可能です。さらに、定期的に更新していくことで、現場で使いやすく、実際の業務に即した内容に進化させることができます。マニュアルは生きたドキュメントであり、時代やニーズに合わせて柔軟に変化するのが理想的です。また、このアプローチを採用することで、従業員からのフィードバックを反映させやすくなり、より実用性の高い内容へと発展させることができます。
- ポイント:定期的に更新することで、内容を進化させる
初期バージョンのマニュアルを作成する方法
初期バージョンのマニュアルを作るステップの一例を以下に示します。
- 必要な項目をリストアップする
まずは仕事で頻繁に質問される内容や基本的な手順を項目としてピックアップします。多くの人が関係する・関心を持つテーマを優先するのがポイントです。
例)経費精算
(経費とは何か、システムへの入力方法、エビデンスについて、申請方法) - 簡潔に記述する
手順1でリストアップした各項目について、簡単な言葉で概要をまとめます(後から追加できる余地を残します)。
例)経費精算
経費とは何か:ここでいう「経費」とは、○○、△△、□□を指す
システムへの入力方法:精算に必要な情報を××システムで入力する
エビデンス:領収書等の提出方法について
申請方法:入力後の申請経路について - 説明を記述する
手順2の簡潔な概要に、必要な説明を加えます。
例)エビデンス:領収書等の提出方法について
領収書等のエビデンスがある場合、写真またはスキャンしたファイルを添付します。
××システムに情報を入力したあと、[添付]ボタンをクリックして必要なファイルを添付してください。 - テンプレートを活用する
項目、概要、説明の体裁を整えます。事前にテンプレートを作成しておくと、フォーマットに悩まずに済み、効率的に進められます。見た目の統一感を出すこともできます。 - 見やすい構成にする
順番を並べ替えたり、見出しをより適切で分かりやすく変更するなどして、読む側の視点を考慮して工夫します。
このプロセスを通じて項目ごとにマニュアルを作成し、それらを一か所に集めていくことで、短時間で「実用的で使える」マニュアルを作ることが可能になります。最初から完璧な完成品を目指すのではなく、「まず作る」ことに重きを置きましょう。
- ポイント:「まず作る」ことから始める
定期的な更新で「育てる」マニュアルを実現する
初期バージョンが完成した後は、定期的な更新が鍵となります。更新のタイミングとしては、業務内容に変更があった際や、マニュアル利用者からフィードバックを受け取ったときが理想です。更新をスムーズに行うためには、責任者を明確にしておくこと、更新履歴を記録しておくこと、さらには更新プロセスをルーチン化することが役立ちます。また、マニュアル利用者が簡単に改善案を共有できる仕組みを整えると、質の向上が期待できます。こうした運用体制を整えることで、マニュアルを「育てる」文化を構築できます。
- ポイント:定期的な更新と運用体制の整備で、マニュアルを「育てる」文化を構築
まとめ
マニュアル作成は「最初から完璧」を目指すのではなく、まずは「育てる」アプローチで始めることが肝心です。まずは初期バージョンを作成し、定期的に内容を追加・更新していくことで、現場で役立つ実用的なマニュアルができあがっていきます。これにより、業務効率の向上や、従業員間の情報共有がスムーズになり、組織全体の成果が高まることが期待できます。
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