なぜ文字の多いマニュアルは読まれないのか
まず前提として、読むこと自体に時間や労力がかかる文書は、現場で敬遠されやすいという点を理解する必要があります。
- 業務中は常に時間に追われているため、一から読む時間がない
- 必要な情報がどこに書かれているか分かりづらい
- 文章だけではイメージが湧かず、理解しづらい
このような理由から、たとえ情報として正確であっても、使いづらいマニュアルは現場での活用に結びつきません。特に手順や作業が絡む業務では、視覚的な情報の有無が理解度や作業スピードに直結します。
視覚的なマニュアルがもたらすメリット
マニュアルに視覚的要素を取り入れることで、以下のような具体的な効果が期待できます。
① 理解のスピードが上がる
図や写真、フローチャートを活用することで、作業の全体像や流れを一目で把握できるようになります。これにより、文章を読み込まなくても手順を直感的に理解できます。
② 必要な情報にすぐアクセスできる
アイコンや色分け、インデックスなどの工夫を加えることで、該当箇所をすぐに特定できるようになります。特にデジタルマニュアルの場合、リンクやジャンプ機能を使えば、目的の項目にすぐに飛べるようになります。
③ 活用率が向上する
「見やすい」「わかりやすい」と感じるマニュアルは、自然と参照頻度が上がります。視覚的に整ったマニュアルは心理的なハードルを下げ、現場での活用を促進します。
どんな視覚的要素を取り入れるべきか
視覚的に分かりやすいマニュアルを作るには、目的に応じた表現を選ぶことが重要です。
フローチャートで手順を明確化
業務の流れを順序立てて説明する場合には、フローチャートが有効です。「AならBへ進む、BならCへ進む」といった判断が視覚的に追いやすくなります。
作業写真や画面キャプチャの活用
設備の操作方法やシステムの使い方など、視覚情報が鍵となる内容には写真や画面キャプチャを添えることで理解が深まります。画像に吹き出しをつけて説明を入れることも、理解を促進するのに有効です。
表や比較図で情報整理
選択肢や条件が複数ある場合には、表やマトリクス形式で比較整理すると一目で違いがわかります。これは、導入研修などの資料にも効果的です。
ピクトグラムやアイコンで情報を分類
注意事項や手順の種類ごとにアイコンや色を使って分類することで、情報のスキャン性が高まり、視認性が向上します。
マニュアル改善の進め方
視覚的なマニュアルを作るには、単に見た目を変えるだけでなく、構成そのものを再設計する必要があります。
ステップ1:現行マニュアルの課題を洗い出す
まずは、現在のマニュアルが使われていない理由を明らかにしましょう。現場の担当者から「どこが見にくいか」「どの部分が使いづらいか」をヒアリングすることが効果的です。
ステップ2:情報の優先順位を整理する
すべての情報を同列に扱うのではなく、「現場でよく使う情報」「トラブル時にすぐ確認したい内容」などを整理し、構成に反映させます。
ステップ3:視覚表現の方針を決める
改善対象のマニュアルに合った視覚要素(図、表、写真など)を選定し、統一感のあるデザインルールを設けることで、見やすさと信頼性が高まります。
ステップ4:試作とフィードバック
試作したマニュアルを実際に使ってもらい、「見やすいか」「探しやすいか」「実務で役立つか」などの観点でフィードバックを収集します。改善を繰り返しながら完成度を高めていきます。
マニュアルは「読むもの」から「見るもの」へ
現代の業務環境では、スピードと正確性が求められます。その中で、従来の「文字中心」のマニュアルは限界を迎えつつあります。
今後は、「読む」よりも「見て理解する」ことが重視される時代です。
特に、新人教育やトラブル対応など、即時性が求められる場面では、視覚的に整理されたマニュアルが大きな力を発揮します。誰が見てもすぐに理解できる状態にすることで、属人化のリスクも下げることができます。
まとめ
マニュアルを整備しても、それが現場で活用されていなければ本末転倒です。
読むのに時間がかかる、どこに何が書かれているかわかりにくい――そんなマニュアルの課題は、視覚的な工夫を取り入れることで、驚くほど改善されます。
「わかりやすい」「使いやすい」マニュアルは、業務効率とチームの生産性を確実に底上げします。ぜひ一度、マニュアルの構成、見せ方を見直してみてはいかがでしょうか。
株式会社シーブレインでは、お客様がお持ちのマニュアルの問題点を分析し、視覚的に分かりやすい、使えるマニュアルへの改善を支援いたします。活用されていないマニュアルでお悩みでしたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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